「たった15分の会議が、なぜこんなに苦しいのか」
ある40代の営業部長、佐藤さん(仮名)がカウンセリングに来たのは、木曜日の夜でした。
その日は朝から胃がキリキリしていたそうです。
理由は、午後から予定されている“定例会議”。
「資料も完璧。準備も抜かりなし。でもあの部長の一言が…想像するだけで胃が痛くなるんです。」
実は、数ヶ月前の会議で些細なミスを指摘され、それ以来、彼の中で“会議=攻撃される場所”という思い込みが強くなっていたのです。
仕事の能力やポジションには何の問題もない。けれど、心の中では「自分はまた責められるんじゃないか」という恐れが、静かに息をひそめていました。
カウンセリングで見えてきた「思考の癖」
カウンセリングでは「じゃあ、どうしたら怖くなくなりますか?」とすぐには答えません。
私たちはまず、“言葉にならない感情”の正体を一緒に探ります。
たとえば佐藤さんは、幼い頃から「間違えるな」「ちゃんとしろ」と言われて育ちました。
その言葉が彼の中に残像のように残り、現在の「過剰な緊張」をつくっていたのです。
カウンセリングでは、それを「過去の記憶」と「今の現実」に分けて考えることで、恐れの正体に光を当てていきました。
心が変わると、世界の見え方が変わる
数回のセッションの後、佐藤さんはこう言いました。
「会議が“試験”じゃなくて、“対話”だと思えるようになってきました。」
この変化は、外からは見えません。でも、内側では大きな地殻変動が起きていたのです。
実際、彼の部下との関係性も少しずつ柔らかくなっていき、「部長、最近雰囲気変わりましたね」と言われたそうです。
心理カウンセリングは、答えを与える場ではない
カウンセリングは、決して“こうすればOK!”というテンプレートを渡す場ではありません。
むしろ、「あなた自身の声を、あなた自身が聞けるようになる場」です。
そしてそれは、ものすごくパーソナルな体験。
成功している人ほど、「誰にも言えないこと」を心の奥にしまっていることがあります。
「強い人」が来るんじゃない。
「誰かに頼ることを許せる強さを持った人」が来るんです。
あなたにとっての“沈黙”は、どんな音がしますか?
もし最近、なんとなく心が疲れている。
理由はないけれど、朝が重たい。
そんなとき、心理カウンセリングを選択肢に入れてみてください。
たった1時間、スマホも予定も脇に置いて、
“本音”を話すことだけに時間を使ってみる。
それだけで、あなたの内側にある「答え」は、ちゃんと姿を見せてくれます。
最後に:人は「壊れそうになる前」に助けを求めていい
カウンセリングは、何か大きな問題が起きたときだけのものではありません。
・未来の自分がもっと自由に動けるように
・もう少し心に余白ができるように
・誰かに話すことで、ひとつ重さを手放すために
そんな“予防”としてのケアとしても、ぜひ考えてみてください。