■ 「自分、けっこう打たれ強い方だと思ってたんですけど」
こう話してくれたのは、40代の営業マネージャー・中野さん(仮名)。
数字にも人間関係にも、相当鍛えられてきたタイプ。
でも、ある日、突然きた。
「“またダメだった”っていう瞬間が積もりすぎて、気づいたら、自分の言葉が全部“保険付き”になってたんですよ。
言い訳が先に出るというか、“自分を折らせない”ための防御ばっかりになってた。」
──これって、多くのビジネスパーソンに起きてる、“折れない”の誤解です。
■ 折れない人=折れたことがない人、じゃない。
よく「強い人」って言われるタイプの人たちを見てみましょう。
- 冷静に見える人
- 感情に左右されない人
- どんな状況でも前に進む人
一見「折れてない」ように見えるかもしれません。
でも実際は、折れてる。でも戻ってきてる。
折れていいと知ってるから、しなやかに復元できる。
つまり、「折れない人」とは、「復元できる人」なんです。
■ 折れない自分をつくる3つの“誤解をほどく”
① 折れる=ダメなこと、じゃない
むしろ、ちゃんと折れておかないと、歪みがあとで爆発します。
「これは折れてもいいんだ」と思えた瞬間、回復が始まる。
② 弱さは“強さの欠如”じゃなく、“人間らしさの一部”
感情的になること、落ち込むこと、不安になること。
それ全部、あって当たり前。それを認めることが、土台になります。
③ 他人に強く見せるほど、自分に対して脆くなる
「ちゃんとしてる自分」を保つために、無理を重ねていませんか?
それ、“崩れないための鎧”であって、“自分”じゃない。
■ 事例:「会社辞めたら、誰にも会いたくなくなった」男の話
35歳で独立した田島さん(仮名)は、会社員時代は「無敵タイプ」だった。
でも起業してすぐ、初案件が白紙に。連絡も途絶えた。
SNSに投稿する気も失せ、知人に会うのも億劫になった。
「“失敗した自分”を誰にも見せたくなかったんです。
でも、見せなかったら、助けてもらえない。
結局、自分を一番苦しめてたのは“強くあらねば”っていう思い込みでした。」
彼はそこから、折れた自分をそのまま話すようになった。
そしたら、周りが変わった。
- フォローしてくれる人が増えた
- 本音で付き合える仲間ができた
- 「強がらない田島さんの方が、信頼できる」と言われた
「強くあろうとしたときより、今の方が“安心して勝負できる”って感じます。」
■ 本当の強さは、「誰かに支えられる余白を残せること」
折れないことよりも大事なのは、「支えられてもいい」と思える自分。
そしてそれを“恥”や“負け”だと思わないこと。
✔ 弱さを開示する=信頼を放棄する、ではない
✔ 頼ること=甘え、ではない
✔ 折れそうなときに「ちょっと手を貸して」と言える自分が、一番タフ
自分一人で“持ちこたえる力”よりも、
“戻ってこれる力”を持っている人が、結果として長く走り続けられる。
■ 問い:「あなたが“折れない自分”でいようとする理由は、誰のためですか?」
- 期待に応えるため?
- 弱さを見せないため?
- 自分の価値を守るため?
でも、本当に信頼されてる人って、人間臭さを見せてる人です。
折れそうなときに「今ちょっとキツいです」と言える勇気が、長期的にあなたを守ってくれる“本当の強さ”なんです。
まとめ
✔️ 「折れない人」とは、「ちゃんと折れて、ちゃんと戻れる人」
✔️ 弱さを認めたときから、精神の復元力が育つ
✔️ 自分一人で持ちこたえようとしないことが、長く走るためのカギ