■ 「ポジティブな言葉が、刺さらない日もある」
40代の管理職、酒井さん(仮名)はある日こんなことを言いました。
「“大丈夫、きっとうまくいく”とか“君ならできる”とか、そういう言葉が逆にツライときがあるんです。」
──わかります。
テンションが落ちているときに、前向きな言葉を押しつけられると、「それができない自分がさらに惨めになる」んですよね。
■ 励ましの言葉は、“元気なときの自分”が考えたものでは効かない
- 自分を責めてるときに「そんなことないよ」と言われても信じられない
- 失敗した直後に「失敗は成功のもと」と言われても、白々しい
- 頑張れない自分に「もっと頑張れ」は毒でしかない
そう、外から与えられた言葉って、調子が悪いときほど、届かない。
だからこそ必要なのは、“他人の言葉”じゃなく、“自分から見つける言葉”なんです。
■ 自分を励ます言葉の見つけ方:3つのステップ
◆ STEP 1:「過去の自分」に聞いてみる
まずは、過去にしんどかった時期を思い出してみてください。
- 仕事がうまくいかなかったとき
- 人間関係で悩んでいたとき
- 自分の価値が見えなくなったとき
そんなとき、“なんとか乗り切った自分”は、どんなことを思っていましたか?
酒井さんの場合はこうでした。
「あのとき、“とりあえず今日だけ乗り切ろう”って、よく言ってたなあ。」
──そう、それこそが「効く言葉」なんです。
◆ STEP 2:「心の中の声」を“文字にして”みる
思考は混乱するけど、言葉にすると輪郭が出ます。
たとえば、落ち込んでるときにノートにこう書いてみる。
「今、何がしんどいの?」
「それって、自分が全部背負うことなの?」
「誰かに言っても大丈夫なことじゃない?」
──この問いかけに、自分の中から返ってくる“答え”が、意外と励ましになってたりする。
ある種の“心のセルフコーチング”です。
◆ STEP 3:「その言葉」を“保管”しておく
たとえばスマホのメモ、手帳の隅、付箋でもOK。
「そのときの自分が自分にかけた言葉」を、ちゃんと書き残す。
- 「ここまでやってきたじゃないか」
- 「今日だけでいい、逃げずに向き合おう」
- 「あの時の自分より、今の方が冷静だ」
これらは“汎用の名言”ではないけど、あなたにとってだけの“回復コード”になる。
■ 事例:「“もうちょっと頑張れる言葉”を、自分の中に持ってる人の強さ」
35歳の広報担当・三浦さん(仮名)は、プレッシャーが強い環境で、常に成果を求められていました。
そんな彼女がいつも胸ポケットに入れていた小さな紙には、こう書かれていました。
「うまくやるより、“ちゃんとやる”」
「すぐには評価されなくても、“見てる人はいる”」
「踏ん張らなくても、“立ってればいい”日もある」
「これ、自分の経験から書き出した“自分マニュアル”なんです。」
──彼女の言葉は、誰かにとっての名言じゃない。
でも彼女にとっては、どんな自己啓発本より効く“安心剤”だった。
■ 本当の励ましとは、“鼓舞”じゃない。“よりそい”だ。
- 奮い立たせる
- 元気づける
- 前を向かせる
これらも大事。だけど、弱ってるときに必要なのは、
「そのままでいいよ」「ちょっと座って休もう」
「動けるようになるまで、ここにいても大丈夫」
そういう言葉。
「走れ」じゃなく、「戻ってこれるよ」の言葉。
■ 問い:「あなたの中に、“自分だけが信じられる言葉”はありますか?」
- 過去の自分が乗り越えた言葉
- 一番しんどかった時期に効いた言葉
- 他人が言ってくれた何気ないけど、今も覚えてるひとこと
それを、自分だけの辞書にしていく。
“誰かの言葉”で元気が出ることもあるけれど、“自分の中から出てきた言葉”こそ、本当に信じられる励ましになる。
まとめ
✔️ 「自分を励ます言葉」は、自分の中から探すもの
✔️ 無理にポジティブになるより、「そのままを肯定する言葉」が効く
✔️ その場しのぎの名言より、「自分の物語」から拾った言葉が一番強い