■ 「わかってるのに、またカッとしてしまった…」
40代のマネージャー・荒木さん(仮名)は、部下に少し言い返されたとき、感情的に返してしまったことを後悔していた。
「頭では冷静でいなきゃって分かってるんですよ。
でも反射的に言葉が出てしまうんです。後から、すごく情けなくなる。」
──こういうの、本当に誰にでもあります。
感情って、先に走るんですよね。
■ そもそも、なぜ人は「反応しすぎる」のか?
- 相手の一言にイラッ
- LINEの既読スルーにザワッ
- 会議で否定された瞬間にムカッ
これって、「出来事そのもの」じゃなく、「自分の解釈」が感情を引き起こしているんです。
つまり、感情に飲まれる前に“解釈のフィルター”を1枚挟めるかがカギ。
■ セルフトークで感情の“反応時間”を少し伸ばす
反応が「0.5秒で出る」なら、「2秒にする」だけでも、ぐっと変わります。
そのために使えるのが、セルフトーク(自分との会話)。
■ 反応しすぎる心に効くセルフトーク:5つの視点
◆ 1. 「この感情って、何を守ろうとしてる?」
怒りや苛立ちは、自分の中の“何か大事なもの”が脅かされたときに出てくる。
- プライド?
- 評価?
- 信頼?
- 自分の正しさ?
🗣「私は、何を守りたかったんだろう?」
この問いが、“反応”から“理解”へのスイッチになる。
◆ 2. 「この一言、他の解釈ってできる?」
たとえば──
上司:「もう少しロジカルに話して」
→ イラッ:「自分の話を否定された!」
でも、別の角度から見ると…
→「もしかしたら、内容は良いけど“伝わりにくかった”だけかも」
🗣「他にどんな意味があるかな?」
感情を“広角レンズ”で見ると、余白が生まれる。
◆ 3. 「これは、自分の“人生の敵”じゃない」
つい敵だと感じた相手。
でも、多くの場合その人は、“ただの通りすがりの別視点を持つ人”に過ぎない。
🗣「この人、別に私の敵じゃない」
🗣「敵にしないといけないほど重要でもない」
その一言で、防御モードがふっと緩む。
◆ 4. 「これは“人格否定”じゃなく“状況のフィードバック”」
たとえば、資料のダメ出しをされたとき。
- 「自分の能力を否定された」と思うと落ち込む
- でも実際は「もっとよくなる部分がある」という“中身への指摘”
🗣「私はダメなんじゃない。“これが改善できる”だけ」
🗣「これはプロセスの一部」
“人格の否定”と“仕事の指摘”を切り離せると、心は折れにくくなる。
◆ 5. 「ちょっと一歩引いて、ドラマの主人公みたいに見てみよう」
怒りや不安に飲まれてるとき、あえて“もう一人の自分”を登場させてこう言う。
🗣「さて、ここで主人公はどう出る?」
🗣「このあと、冷静に返したらカッコいいな」
──自分の人生を「外から実況中継」することで、反応の暴走にストップがかかる。
■ 事例:感情に流されない人は、感情がないんじゃない。「観察するクセ」がある
30代の営業職・柴田さん(仮名)は、相手が感情的になっても、冷静さを崩さないことで信頼されていた。
「昔はすぐカッとなってました。でも最近は、“このイライラ、どこから来てる?”って考えるようになって、それだけで、だいぶ違います。」
感情を「感じないようにする」んじゃなくて、「観察することで、反応せずに済むようにした」のです。
■ まとめ:セルフトークは「感情にスペースを作る技術」
✔️ 反応しすぎるのは、“自分の価値を守ろうとする証拠”
✔️ すぐに反応せず「問いを挟む」ことで、感情にスペースが生まれる
✔️ 自分を否定せず、“もう一人の自分”で見守る視点を育てる