「こだわりを捨てる勇気」と「こだわる覚悟」──その“間”に宿る、しなやかなビジネスマインド

■ 「それ、もうやめたら?」という言葉にグッと詰まった話

あるWebディレクターの男性(35歳・仮名)は、ずっと抱えていた案件でうまくいかない部分があり、ある日、同僚にこう言われました。

「そこ、もう切り捨てたら? 時間のムダだよ。」

分かってる。でも、どうしても手放せない。

「こだわりというより、“諦めたら負け”な気がして…。」

──こういう葛藤、誰しもありますよね。
でも、それって本当に「こだわるべきもの」でしょうか?


■ ビジネスマインドに必要なのは、“引き際の判断力”と“残すべき信念”の見極め

ビジネスマインドって、「前向きでガッツあること」ではないんです。
むしろ、こんな問いを持てるかどうかが重要です。

  • これって「諦め」なのか、「戦略的撤退」なのか?
  • ここにこだわるのは、「品質」か、「プライド」か?
  • 誰のための完璧さを追い求めているのか?

こうした“分岐点”で自分を冷静に見られるかどうかが、「成果を出し続ける人」と「ただ頑張るだけの人」の分かれ目になります。


■ 割り切り vs こだわり──2つのバランスに優れた人の共通点


◆ 特徴①:「勝ち方」にこだわるより、「進め方」にこだわる

成果だけを見ると、「勝てばいい」で終わる話です。
でも、ビジネスマインドがある人はこう考えます。

「これは“勝つべき勝負”なのか?」
「今勝っても、“次”につながらなければ意味がない。」

✅ 「目先の勝ち」を捨てて、「流れをつくる」ことを選べるのが、本物のプロ。


◆ 特徴②:「全部やろう」としない。けど、「誰かのせい」にもしない

仕事ができる人ほど、“自分で全部やろう”とはしない。
でも同時に、“誰かに丸投げ”もしない。

「ここは自分の守備範囲。これは、誰かを信じて任せる。」

この割り切りは、「責任を持った“選択”」であって、逃げではない。

✅ ビジネスマインドとは、「自分の責任を、正しく線引きできる力」。


◆ 特徴③:「完璧より“動かす”ことにこだわる」

ある若手デザイナーが、先輩にこんなことを言われた。

「お前のは、“100点の完成度”じゃなくていい。
“50点でも動くもの”を出せ。それが現場の戦い方だ。」

完璧な資料よりも、動かせる試作品。
会議でうなるアイデアより、まず投げてみる試行錯誤。

✅ こだわるべきは「完璧」じゃなく、「動かすこと」に対する責任感。


■ 自分の中で「ビジネスマインドが鈍っている」と感じたら

  1. 「何に怒っているのか」を言語化してみる
     → それ、ほんとに「怒る価値あること」?
  2. 「ここは譲れない」が3つ以上あったら、危険信号
     → 譲れないものが多すぎると、身動きが取れなくなる
  3. 「このこだわり、誰のため?」と問い直す
     → 自分のため? 顧客のため? チームのため?

✅ こだわりを“守りたい感情”と切り離して見つめると、冷静さが戻ってきます。


■ まとめ:しなやかなビジネスマインドは、「割り切れる強さ」と「信じ抜く芯」の両方を持っている

✔️ 手放すことは、負けではない。「より大きな成果のための前進」
✔️ こだわることは、美学ではない。「動かすための責任」
✔️ 決断とは、こだわるところを“ひとつに絞る”ことでもある

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